無添加なのに土佐山の加工食品はなぜ長持ちする?! 土佐山が工夫している昔ながらの保存方法。

無添加の保存方法
食材や食品を長持ちさせる為にはどうすれば良いか?企業が使っている専門性の知識を必要としなくとも、家で作る料理でもできる工夫は沢山あります。それは特段難しい事ではなく、昔からの保存の知恵を知る事で、食品をより美味しく長く、そして安全に食べることができます。今回は、土佐山で昔から使われていて、商品にも活かされている保存方法をご紹介。

文明が栄える前は怖かった食品のリスク

文明が栄えるにつれて、保存技術、流通技術が発達し、食品のリスクが抑えられてきましたが、昨今でも食品に関するリスクは様々ものがあります。ノロウイルス、大腸菌O-157と言ったウィルスや細菌性の食中毒、アニサキスなどを始めとする寄生虫、ヒスタミンが原因の中毒症状など、食品に関するリスクには枚挙にいとまがありません。昨今でも食中毒のニュースは1年に何度かは目にしますね。現代でもある食品のリスクを、昔の人はどの様に対処していたのでしょうか。高知市土佐山地区は、今でも実践されている昔ながらの保存方法があります。その保存方法を利用して、夢産地とさやま開発公社では商品開発に取り組んでいます。我々が行なっている保存方法を一部ご紹介いたします。
 
  1. 水分を飛ばす保存方法

    例:干し野菜、干し魚など

    一番手間や失敗のリスクが少ないのが水分を飛ばす方法です。細菌が繁殖する為に必要な水分を極力無くす事で、食品の保存ができます。野菜だったら使うサイズにカットして、魚だったら開きなどにして天日干し、あるいは陰干しするだけで出来ます。

    水分飛ばす保存方法は、そのまま食べるよりも、食味が向上する場合が多いのもポイントです。魚の干物などは、生のまま焼くより、うま味が増します。干し柿は、特にわかりやすいですね。干し柿に使われるシブ柿は、皮を剥いて干す事で、渋みが抜けて甘くなります。干し柿の歴史は古く、平安時代には既に食べていたそうです。

    高知では、冬の定番のおやつとしてヒガシヤマがあります。ヒガシヤマとは、名前の由来は諸説ありますが、干し芋の事です。ねっとりと甘いその味は、まさにキャラメル。子供からお年寄りまでを虜にする、高知の昔ながらのおやつです。紅ハヤト(芋の品種)を煮て干すのが一般的ですが、芋の種類を変えたり、煮たり蒸したり焼いたり、様々なヒガシヤマがあります。高知市の城下筋で、毎週日曜日に開催される日曜市では、高知中の生産者が出店しているので、様々なヒガシヤマに出会う事ができます。

    水分を抜く保存方法として干し芋があります
     
  2. 水分活性を下げる保存方法

    例:ジャム、佃煮など

    水分活性を下げる事も保存方法の1つです。聞きなれない言葉かもしれませんが、余分な水分を抜くと言う事です。水分を飛ばす保存方法と、どう違うののかと思うかもしれません。

    食品の腐敗には、微生物が大きくかかわっていますが、その微生物が活発に活動するためには水分が必要となります。ですが、水分が食品中の成分(タンパク質、炭水化物など)と結びついて、結合水になると、途端に微生物が活動するのに利用できない水分へと変わります。結合水とは逆に、微生物が利用できる水分を自由水と呼びます。簡単にいえば、この自由水の割合が低ければ低いほど腐敗しにくいと言えます。食品を例で挙げると味噌、ジャム、佃煮などが挙げられます。
     
  3. Phを下げる保存方法


    例:ピクルス、マヨネーズなど

    微生物の殆どは、周辺の環境が酸性に傾くと生育が難しくなります。クエン酸などを豊富に持つ梅干し、ぬか漬けなどの乳酸発酵、酢を用いるピクルスなど、食品を酸性に保つことで長期の品質保持が期待できます。土佐山ジンジャーエールには後味をすっきりさせる為に、柚子果汁を使用しています。実はこのユズ果汁を使用する事によって、土佐山ジンジャーエールはやや酸性よりになり、長期間の品質保持にも役立っています。まさに一翼どころか二翼を担う食材です。

    Phを下げる梅干し
 

保存期間が長い商品を一部紹介

土佐山ジンジャーエール以外にも、土佐山の地場産品を使用した加工品を販売しています。その中でも常温保存可能な商品をいくつか紹介します。
 
  • 生姜のしょうゆ漬け
    土佐山ジンジャーエールで使用する、煮出後の生姜を刻み、醤油に漬け込んだ商品です。柚子果汁を使用している為、酸性に傾いており、長期保存に適しています。また、真ん中に梅干しが丸々一個入っており、それもPhを下げる一役をかっています。食べてみると柚子の酸味はあまり感じず、そのままご飯にのせて美味しく食べられます。TKG(卵かけご飯)の醤油の代わりや、炒飯に入れるのもおすすめです。

    生姜の醤油漬けをご飯に乗せる
     
  • 生姜糖
    生姜を砂糖とゆず果汁で煮詰め、天日でじっくりと干した、高知の昔ながらのおやつです。じんわりと感じる生姜の辛みと、コクのあるブラウンシュガーの甘味、そして味を締めてくれる柚子果汁の味わいがやみつきです。
 

保存で大事なの事は、細菌をつけない、入れない、増やさない事

家庭でも実践できそうな方法をご紹介しましたが、食品を長期間保存するのに重要なポイントは細菌をつけない、入れない、増やさない事です。せっかく長期保存が可能な方法で食材を調理しても、肝心の保存方法をしっかりしないと、画竜点睛を欠く所の話ではありません。簡易方法としては、使い捨てのビニールパックや、熱殺菌の容易な保存ビンなどを使って、冷凍もしくは冷蔵保存を心がけましょう。もちろん一度開封したら、なるべく早くに使い切りましょう。